認知症かも・・・
〜認知症の原因・予防・治療〜


認知症は、早期発見・早期治療が大切です。 原因によっては、治る認知症があります。症状の進行を遅らせることもできます。 そして、なにより、本人や家族に余裕が生まれます。

「おかしい」と思ったら、年齢のせいと考えて放置することなく、出来るだけ早い時期に、お近くの医療機関に相談に行きましょう。 「おかしい」と気づいてから、医療機関に相談するまでに、約7割の家族が2年以上かかっているとの報告があります。 そして、一度診察を受け「大丈夫ですよ」といわれても、年々症状が悪くなるようならば、もう一度、相談に行きましょう。


■認知症とは
認知症という言葉自体は病名ではなく、特有の症状を示す状態を総称する言葉です。 認知症を引き起こす病気は、細かく分類すれば、たくさんありますが、圧倒的に多いのは、「アルツハイマー病」と「脳血管障害」の2つです。 もともと日本では脳血管性認知症のほうが多かったのですが、最近はアルツハイマー型認知症が半数以上を占めるようになりました。


◆認知症を引き起こす病気

・アルツハイマー病
脳の神経細胞が変性、死滅し、脳が萎縮して認知症が生じてくる病気です。 アルツハイマー型認知症の発症と進行は比較的緩やかです。 しかし、確実に、徐々に悪化していきます。 多くの場合、物忘れ(記憶障害)から始まり、時間、場所、人の見当がつかなくなります(見当識障害)。

・脳血管障害
脳の血管が詰まったり破れたりすることにより、 その部分の脳の働きが悪くなり、それが引き金となって認知症が引き起こります。 脳細胞に十分な血液がいきわたらず、部分的に機能が失われていきます。 症状としては、もの忘れ、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれなどがみられることがあります。 脳卒中の発作がおこるたびに段階的に悪化することが多いようです。

・びまん性レビー小体病
脳の特定の神経細胞の中に、特異な変化(レビー小体)が現れる病気です。 初期に幻覚(特に幻視)や妄想が出ます。そのうちに、物忘れなどの痴呆症状が現れ、さらに体が硬くなり、動作が遅くなり、小またで歩くなど、パーキンソン病に似た運動障害が出てきたりします。

・前頭側頭葉変性症・ピック病
働き盛りの40歳〜60歳に多く、脳CT・MRIでは前頭葉・側頭葉の萎縮があり、脳の後方病変が主体のアルツハイマー病とは異なるパターンを示します。 初期症状としては、もの忘れよりも、人格変化が中心にみられます。

・その他
慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍、 薬物中毒、神経変性疾患など。


◆「認知症」と「もの忘れ」の違い

認知症は、はじめのうちは歳のせいによるもの忘れとの区別がつきにくい病気です。 大きな違いの一つとして、認知症は体験のすべてを忘れてしまうのに対し、歳のせいによるもの忘れは、体験の一部を忘れているという点があげられます。

例えば、ふつう私たちは、朝食に何を食べたかを忘れてしまっても、 朝食を食べたこと自体を忘れることはありません。しかし、認知症の場合は「食べた」 という体験自体がまるごと記憶から抜け落ちてしまいます。 初期のうちはそうした物忘れを自覚して、不安になる人もいますが、症状が進むにつれて、忘れたことに対する自覚がなくなり、 「まだ食べていない」「食べさせてくれない」などと言い張るようになるのも特徴です。


■認知症チェック
認知症の診断に広く利用されている、 長谷川式のスケールを利用した認知症簡易診断プログラムです。 このテストは、自己診断テストには利用できませんので、あなた自身(被験者)をチェックする際には、誰か家族の方(検者)に質問・採点してもらってください。 なお、この診断結果はあくまでも参考です。 このスケールの点数が悪かったからといって、 即「認知症」と診断されるものではありませんので、ご留意ください。

1.お歳はいくつですか?
正解は1点(2年までの誤差は正解)

2.今日は、何年何月何日、何曜日?
年、月、日、曜日が正解でそれぞれ1点ずつ。すべて正解で4点。

3.私たちが今いるところはどこですか?
ヒントなしに、自発的に答えられれば2点、
5秒おいて、家ですか?病院ですか?、施設ですか?のヒントの中から 正しい選択ができれば1点。

4.これから言う3つの言葉を言ってみて下さい。 又、後で同じ質問を聞きますので覚えておいてください。
桜、猫、電車

検者が言った後、すぐに被検者に答えてもらう。
それぞれ正解なら1点ずつ。すべて正解で3点。

5.100から7を順番に引いて下さい。
100-7は?、それからまた7を引くと?

最初の答え93が不正解の場合、0点で、打ち切る。
最初の答え93が正解で1点、次の答え86も正解なら合計で2点

6.わたしがこれから言う数字を逆から言って下さい。
[1]6,8,2
[2]3,5,2,9

[1]が不正解の場合は0点で、[2]は打ち切る。
[1]が正解2,8,6で1点、[2]の答えも正解9,2,5,3なら合計で2点

7.先ほど覚えてもらった言葉(4の質問の回答)をもう一度言ってみて下さい。
自発的に(ヒントなしに)回答があれば、各2点。
回答がない場合、ヒント(植物、動物、乗り物)を与え、正解すれば各1点。

8.これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにが あったか言って下さい。
時計、鍵、たばこ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なものを見せて答えてもらう。
1品各1点、すべて正解の場合は5点。

9.知っている野菜の名前をできるだけ多く言って下さい。
途中で回答につまり、約10秒、つまっても答えない場合にはそこで打ち切る。
5個までは0点、6個言えたなら1点、7個なら2点、8個なら3点、 9個なら4点、10個言えれば5点

判定
21点以上が正常(満点は30点)
20点以下は認知症の疑いあり

あくまでも参考にとどめ、勝手な自己判断はやめましょう。 ご心配な方は医師とご相談ください。


■認知症が疑われる時
認知症という病気は、患者さんご本人だけでなく、介護するご家族にも大きな負担をかけます。負担を少しでも軽くするには、早期発見が大事です。 チェックの結果や、日頃の行動で、ひょっとしたら・・・と思ったら、まずは、医師に相談いただくか、最寄りの相談窓口に問い合わせてみてください。


◆相談窓口

(社)認知症の人と家族の会
痴呆に関わる当事者を中心とした全国的な唯一の民間団体。国際アルツハイマー病協会(本部:ロンドン)にも加盟。 痴呆の世界情報、痴呆症、寿命や高齢者に関する情報が豊富。
家族の会 認知症の電話相談(本部) 電話0120-294-456
電話受付時間 月曜日〜金曜日/10:00〜15:00(土・日・祝日・年末年始はお休みです)


◆病院の何科にかかるのか?

認知症の診療をする主な診療科は、「物忘れ外来」が最近は病院に多く見られます。 その他、「精神科」「神経科」「神経内科」「老年病内科」「老年内科」などにかかるとよいと思います。

大きな総合病院や大学病院では、待ち時間も長く、一面識も無い病院ですと躊躇する場合もあります。 そういう場合はいつものかかかりつけ医に相談されるのも一案です。


◆セカンドオピニオンについて

認知症の診断は、さまざまな疾病のなかでも難しい部類です。 認知症と診断を受けて不安になり、他の専門医にも相談したいと思う時があります。 そういう場合は、他の病気でも今は一般的になってきているセカンドオピニオン、つまり別の医師の診断をうけて第二の意見を聞いてみるのもいいでしょう。 どのような時にも、納得して治療法を選ぶことは患者の権利です。また、どんな医師の診断を受ける時も、わからないことがあれば質問を繰り返して、十分な説明を受けるようにしましょう。


■認知症の予防
アルツハイマー病は、ある日突然発症するわけではありません。 脳に小さな変化が起こって少しずつ進行し、かなり進んだところで、疑いようもない症状が出るようになります。 このはっきりした症状が出る一歩手前の段階の時期に、早めに対策をとることで、発症を予防したり、遅らせたりすることができます。 おかしいと思ったら、早めに医師の診察を受けることが大切です。


◆バランスのよい食事

塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を摂りましょう。 特に、脳を活性化し、認知機能を改善するといわれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含む魚を食べること もおすすめです。サンマ、サバ、イワシなどの青魚には、とくにEPAやDHAがたくさん含まれています。


◆適度の運動

適度に運動を行い、足腰を丈夫にしましょう。 歩くことが大事です。 歩くことによって脳のいろいろな領域が刺激されて、脳の代謝と循環が活発になります。 また、手をよく使うことも大切です。料理を作る、日記をつける、楽器を奏でる、 絵を描くなどは、手を使うとともに頭を多面的に使うことになりますので、いっそう効果的です。


◆深酒やタバコはやめる

深酒とタバコはやめて規則正しい生活を送りましょう。 アルツハイマー病の頻度と深酒の有意な関係は認められていないのですが、3合以上の飲酒歴のある人には、アルツハイマー病になりやすい傾向があります。 喫煙は脳血管性痴呆の危険因子とされています。


◆転倒に気をつける

アルツハイマー病の危険因子として、内外の疫学的調査で共通し、第一番に挙げられるのは頭部外傷の既往です。


◆積極的に頭を使う

脳の衰えを防ぐためには、積極的に頭を使うことが必要です。 脳の神経細胞を刺激し活性を与えることが、重要で、それには、日ごろから何事も考え、それをまとめて表現する習慣を身につけておくことが大切です。 例えば、テレビのドラマや映画を見ても、刺激は受けますが、ただ筋を追うだけではあまり頭を使うことにはなりません。 その内容や感想、批評を自分で考え、まとめて表現することが、あれこれと頭を使い、脳の活性化に役立つことになります。


◆生活習慣病に気を付ける

動脈硬化は、脳、心臓、その他を問わず、生活の習慣(高血圧、高コレステロール血症、肥満など)に基づく生活習慣病といえるものです。 生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防に心がけて下さい。 さらに、きちんと健康診断をうけ、早期発見、治療をしましょう。


◆くよくよしない

人との付き合いで起こるささいなトラブルや気持ちの行き違いを、いつまでもくよくよと考え込まないで、明るい気分で生活をしましょう。 気分の落ち込むうつ病は、感情の病気です。が、年をとってからのうつ病は、気力の低下、注意力の衰えのために、頭の回転が遅くなったり、もの忘れがひどくなったりします。


■脳を守る10の方法(出典:アメリカ・アルツハイマー病協会)

1.頭が第一
健康は脳からです。最も大切な身体の一部である脳を大切にしよう。

2.脳の健康は心臓から
心臓によいことは脳にもよい。心臓病、高血圧、糖尿病、脳卒中にならないためにできることを毎日続けよう。 これらの病気があるとアルツハイマー病になりやすい。

3.身体の値のチェックを
体重、血圧、コレステロール、血糖を望ましい値に保とう。

4.脳に栄養を
脂肪が少なく抗酸化物(ビタミンEなど)の多い食品を摂ろう。

5. 体を動かす
身体の運動は血液の流れをよくし、脳細胞を刺激することになります。 1日30分歩くなど心と体を活き活きさせるためにできることをしよう。

6.心のジョギングを
いろいろなことに関心をもって脳の活き活きさせると、脳細胞とその繋がりの余裕が生まれます。 読む、書く、ゲームをする、新しいことを学んでみよう。

7.他の人とのつながりを
身体と心と社会の3つの要素を組み合わせた余暇活動は、認知症を防ぐ最もよい方法かもしれません。 人と付き合い、会話を交わし、ボランティアをし、クラブに加わり、学習してみよう。

8.頭の怪我をしない
頭の怪我をしないように注意しよう。 車に乗る時はシートベルトを、自転車の乗るときはヘルメットを、家の中で転倒しないように整理整頓しよう。

9.健康な習慣を
不健康な習慣を避け、タバコを止め、飲み過ぎないようにしよう。

10.前向きに考え、今日から始めよう
明日のあなたを守るために、今日からできることをしよう。


■アルツハイマー病を疑う10の症状(出典:アメリカ・アルツハイマー病協会)

1. 日常生活を混乱させるほど記憶力が変わる  
2. 計画を立てたり問題を解決する能力が衰える  
3. 家庭、会社、レジャーなどで馴れたことが最後まで出来にくくなる  
4. 時間や場所について混乱する  
5. 視覚的、空間的な関係の理解が難しくなる  
6. 話したり書いたりする言葉の問題が生じる  
7. 物の置き場所を間違えたり、来た順路を思い出せない  
8. 判断力が低下したり判断が難しくなる  
9. 仕事や社会活動から引きこもる
10. 気分や人柄が変わる

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